英政府、前駐米大使の任命めぐる文書公開 複数の閣僚と共に首相を批判

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ケイト・ワネル政治記者
イギリス政府は1日、与党・労働党の重鎮だったピーター・マンデルソン卿の駐米大使任命に関する政府資料を公開した。1500ページにわたる文書からはマンデルソン卿と閣僚らの間でやり取りされたメッセージが明らかになったが、その中でマンデルソン卿らが、キア・スターマー首相や首相官邸、そして労働党議員らを強く批判していたことが判明した。
あるメッセージでマンデルソン卿は、首相官邸を「苦境に立たされ、打ちひしがれている」と表現し、「全面的な刷新」が必要だと述べていた。
マンデルソン卿は2025年2月に駐米大使に任命されたが、アメリカの性犯罪者ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)とのつながりを理由に、昨年解任された。
その後、エプスティーン元被告の関連資料公開を通じ、閣僚在任中の不正行為疑惑が浮上したため、ロンドン警視庁が捜査を開始。こうした状況の中、政府は今年初め、下院の公開要求動議の可決を受け、それまで非公開だった文書の公表に同意した。
1日に下院で発言した英首相官邸のダレン・ジョーンズ首席首相秘書官は、これは「最大規模の政府公表の一つ」で、100万ポンド(約2億1000万円)以上の費用がかかったと明らかにした。
公開された文書の一部は、国家安全保障またはプライバシー上の理由から黒塗りにされている。また、マンデルソン卿を捜査しているロンドン警視庁の要請により非公開とされた文書もある。マンデルソン卿は不正行為を否定している。
一部の閣僚については、やりとりの一部だけが公表された。これには、マンデルソン卿が英オックスフォード大学総長の職を求めていた際に、総長選挙で支持してほしいと求めるやりとりや、その後の大使任命について祝意を示す内容などが含まれている。
こうしたなか、マンデルソン卿とパット・マクファデン労働年金相とのやりとりに注目が集まっている。
マクファデン氏が、労働党の議員について不満をあらわにするやりとりもあった。マンデルソン卿へのメッセージでマクファデン氏は、「私が出席するあらゆる会合は、『誰かに給付を与えるため、ほかの誰に課税できるか』という話ばかりだ。質問の設定そのものが間違っている」と述べていた。
マクファデン氏は当時、内閣府の閣僚だった。その後、労働年金相に就任している。
マクファデン氏の報道官はこのメッセージについて、「大事な問いかけは、『あなたは何を受け取る権利があるか』ではなく、『どうやってあなたの人生を変えられるか』だと、パットは公の場で繰り返してきた」と説明。
「それが労働・年金相としての一貫した姿勢であり、とりわけ若者に対して、前政権のように見放すのではなく、雇用と機会をいかに最も適切に広げていくかに焦点を当てている」と述べた。
一方、最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、「パット・マクファデンは、首相と同様、公の場では否定していることをプライベートで口にしている」と指摘。
「私が繰り返し述べてきたように、労働党議員は資金がどこから来るのかを理解していない。彼らは税金を、国民の努力の結果ではなく、自分たちが使うための資金だと考えている。この国の人々は、はるかに良い待遇を受けるに値する」と述べた。
マクファデン氏とのやりとり
2025年5月2日、マンデルソン卿はマクファデン氏とのやり取りの中で、スターマー首相について、「内閣全体と同様に精細を欠いている」と述べた。
当時、労働党は地方選挙で大敗を喫し、またイングランド西部ランコーン・アンド・ヘルズビー選挙区での補欠選挙にも敗れていた。
マクファデン氏は5月3日、「今日はひどい気分だ。なんて惨敗だ。ほかの人たちも私と同じくらい、つらい思いをして不安でいるといいんだが」と書いた。
マンデルソン卿とマクファデン氏は2025年6月下旬、2030年までに50億ポンドの削減を目的とした政府の福祉改革法案について、メッセージを交わした。
この法案は労働党議員による大規模な反発を受けたため、政府は内容で大きく譲歩せざるを得なくなった。
法案の採決に向けた過程で、マクファデン氏は議員らが「動いていない」と述べている。
これに対しマンデルソン卿は、政府が採決に敗れる可能性があると応じた一方、「キアがそれを乗り切れるかは確信が持てない」と付け加えた。
マクファデン氏は「彼は今日、(造反の)首謀者らと会っている。非常に悪い状況だと思う。敗北するか、法案を撤回するか、あるいは骨抜きにするか、いずれも彼の権威を破壊する」と述べ、その後、「キアの権威のことだ」と追伸を送った。
「残念ながらそう思う」と、マンデルソン卿は返している。

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この数週間後、2人は当時首相の首席補佐官だったモーガン・マクスウィーニー氏について話していた様子。
マンデルソン卿は「(マクスウィーニー氏は)昨夜、キアが首相官邸を変革できるとは信じていないと私に言っていたようだ。それよりもまずは、労働党議員団の間で過半数の支持を得ることを優先すべきだと考えているようだった」と述べた。
さらにマンデルソン卿は、「一切合切について、私はいささか失望しつつある」と付け足した。
その3日後、マンデルソン卿はマクファデン氏に、「今の首相官邸について、君はどう見ている」と尋ねた。
マクファデン氏はこれに「良くない」と答え、さらに、首相官邸の補佐官らが「先日、私のもとに来た。彼らは、自分たちが何を望んでいるのか理解しているとは思えない」と述べた。
「もし乞われて協力することになったとしても、首相官邸がうまくいくようにするため、何を求めればよいのか分からない」
これに対しマンデルソン卿は、「何を望んでいるのか、彼らがごくはっきりと説明しないなら、キアはどうしたらいいんだ」と返事をしている。
「『ごみを入れれば、ごみが出てくる』だ。あなたには、私がGB(ゴードン・ブラウン元首相)の時に担っていたような地位と権限が必要だ」とも、マンデルソン卿は述べた。
同党の重鎮だったマンデルソン卿は、ブラウン元首相やトニー・ブレア元首相の内閣で複数の閣僚ポストを務めた。
7月30日のやりとりでは、2人は首相官邸の高官らについて話している。
マンデルソン卿は、「彼らはチームとして動いていないし、リーダーがいない。キアが何を考え何を望んでいるのか、(官邸高官たちは)誰も実は理解していない」と指摘。「しかも、キア自身も自分が何を望んでいるのか分かっていないと、(官邸高官の)ほとんどがそう思っている」と述べた。
マンデルソン卿はその後、首相官邸は「苦境に立たされ、打ちひしがれている」と表現し、「前へ進むためには、全面的な刷新と目的意識および自信の注入が必要だ」と付け加えた。
同じ頃、マンデルソン卿は閣僚のトーステン・ベル氏にメッセージを送り、「政府は一般的に言って、政策遂行が十分にうまくできていない。すべては政策から始まる」と述べた。
現在は財務省の政務次官であるベル氏は、「正しい政策を作るのは他人の仕事だと、だれもがそう思っているみたいだ(中略)これは非常に奇妙だ」と返事をしている。
マンデルソン卿はこれに対し、「よく言われるように、『ごみを入れればごみが出てくる』んだ」と応じた。
大使任命で「決して後悔させない」と当時の外相に
スターマー首相は2024年12月20日、マンデルソン卿を新たな駐在大使に指名すると発表した。
その1カ月前に送られた手書きの書簡で、マンデルソン卿は当時のデイヴィッド・ラミー外相に対し、「もし私を任命しようと考えるなら、決して後悔させないと約束する」と書いていた。
マンデルソン卿の大使任命をめぐっては、治安当局による詳細な審査の実施より先に、その就任が発表された。また、これらの審査で不合格になったものの、外務省がその事実を首相に報告せず、審査機関の勧告に反して大使就任を認めていたとことも判明している。

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携帯電話の盗難
BBCの取材によると、ニック・トーマス=シモンズ内閣担当相が、昨年秋に携帯電話を盗まれたため、マンデルソン卿とのすべてのメッセージを共有していないという。
盗難は、マンデルソン卿が解任された1カ月後に、内務省の外で発生した。これは、議員らが関連メッセージの公表を要求する数カ月前のことだった。
トーマス=シモンズ氏は当局に対し、自分の任命についてマンデルソン卿とあいさつを交わしたことや、マンデルソン卿がオックスフォード大学総長になろうと総長選挙の票集めをしていた際にやり取りをしたことは記憶していると述べた。
同氏の側近は、同氏が動議に従い、記憶している限りメッセージのすべての詳細を共有したと説明。いずれもマンデルソン氏が大使になる以前のもので、「透明性こそが唯一の解決策だというのは、当然のことだ」と述べた。











