英首相の進退めぐり与党内の対立続く 首相は主要対立候補とみられる保健相と会談へ

画像提供, PA Media
ジョシュア・ネヴェット政治記者、イアン・ワトソン政治担当編集委員
イギリス地方選で与党・労働党が大敗したことを受け、キア・スターマー首相の進退をめぐり与党の内部分裂が続く中、首相は13日にも、将来の党首候補の一人とみられるウェス・ストリーティング保健相と会談する見通しとなった。スターマー氏は12日、続投の意思を閣議であらためて示したものの、これに対して政務次官4人が首相に抗議する形で辞任したほか、労働党の下院議員80人以上が首相に辞任を求めた。他方、首相を支持する閣僚や下院議員100人以上が、党内の混乱や党首選の実施に対して警鐘を鳴らした。
スターマー首相は閣議で辞任要求を拒否し、閣僚に対し、国民は「政府が職務を遂行することを期待している」と述べた。さらに、正式な党首選の手続きが開始されていない点を指摘したという。労働党の党首選は、党首が辞任するか、あるいは下院議員が挑戦者として名乗りを上げることで開始される。現職党首に挑戦するには、個別の候補が労働党議員の20%、すなわち81人の支持を得ていることが要件となる。
首相が閣議で続投を表明した後、女性・少女に対する暴力問題を担当する政務次官で知名度の高いジェス・フィリップス議員をはじめ、計4人の政務次官が辞任した。
これに対してデイヴィッド・ラミー副首相を含め複数の閣僚は、首相を「全面的に支持する」と表明。ラミー氏は、首相に辞任を求める同僚に対し「下がる」ように呼びかけた。
「キア・スターマーに対抗する候補の具体的な名前を、まだ誰も挙げていないようだ。首相は辞任すべきだと言うなら、どの候補がより適任なのかを示すべきだ」とラミー氏は述べた。
こうした状況でスターマー政権は13日、チャールズ国王が議会に政府の施政方針を示す「国王の演説」で、立法計画を示す予定。新しい議会会期の開始に伴うこの行事に先立ち、ストリーティング保健相は首相官邸でスターマー首相と会談する予定。ストリーティング氏がこの会談後も、国王演説の妨げとなるような発言は行わない見通しだと、BBCの取材でわかった。
ストリーティング氏はこれまでも党首を目指していると公言しており、党内の中道派や右派の議員たちに支持されている。首相の側近たちは、ストリーティング氏が13日の会談までに議員81人の支持を集めることはできないと見ていることが、BBCの取材でわかった。
ストリーティング氏の支持者の一部は、スターマー首相はすでに国民の支持を失ったと主張する書簡を出しており、同氏に近いとされる政務次官も辞任している。しかしスターマー氏が党内の辞任圧力を退けているだけに、通常ならストリーティング派とみられる党内右派の議員の間にも、今は党首選の時期ではないとする声明に署名する動きが見られる。
ただし、たとえストリーティング保健相が十分な支持を得られないとしても、首相にとって課題山積な状況に変わりはない。
労働党の活動資金確保に大きな役割を果たしてきた複数の労働組合が、スターマー首相は次の総選挙前に辞任すべきだという声明を発表する見通しで、スターマー氏はこうした労組との会合を取りやめている。
スターマー氏の進退をめぐる不透明感は、「国王の演説」に影を落としている。政府は演説では、移民問題、国民保健サービス(NHS)と警察の改革、さらには英鉄鋼メーカーのブリティッシュ・スティールを国有化する可能性に関する法案を含め、35本以上の法案や草案を示す予定。しかし、こうした政策を実現するまでにスターマー氏が首相職にとどまるのかは、不透明な状態が続く。

画像提供, PA Media
首相官邸での混乱
12日の首相官邸では対立と混乱が続いた。スターマー首相は閣議で辞任要求を退けた。政府関係者はBBCに対し、スターマー氏は選挙結果や自らの指導力について閣議で議論することを拒否したと明らかにした。こうした問題については閣僚と「個別に」話すと、首相は述べたのだという。
閣議後には、複数の閣僚が党首問題についてスターマー首相に話しかけようとしたが、首相が応じなかった様子。
スターマー氏は11日の演説では、「ゆるやかな変化では不十分だ」と述べ、国が直面する「大きな課題に向き合う」と約束していた。
しかし、フィリップス議員は閣議後、政務次官を辞任すると書簡で発表。自分の所管においてこれまで「本当の変化」が実現したのは通常、「何か壊滅的な失敗が起きて私が警告」したからだったと述べた。
議員はさらに首相に対し、「あなたは根本的には善人で、正しいことを重視する人物だと思います。しかし、それだけでは不十分なのだと、私は直接目にしていました」と伝え、「議論を避けたいという気持ちがあるせいで、議論がなかなか行われない。そのために、前進の機会が停滞し、遅れてしまっている」と書いた。
フィリップス議員は書簡の最後で、「労働党政権が成功することを望み、その実現のために今後も努めるつもりですが、私や国民が期待する変化が見られない以上、現在の指導体制の下で閣僚として職務を続けることはできません」と述べた。












