ヨルダン川西岸ジェニンでイスラエル軍が急襲作戦、9人死亡

Palestinians inspect damaged vehicles and buildings in Jenin, in the occupied West Bank, after nine Palestinians were killed in an Israeli military raid (26 January 2023)

画像提供, Reuters

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パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のジェニン地区で26日、イスラエル軍が「テロ対策」として急襲作戦を実施し、パレスチナ人9人が死亡した。パレスチナ当局は、ここ数年で最も死者数の多い事件だと批判。死者のうち1人は民間人だと述べた。

イスラエル国防軍(IDF)は、「大規模な攻撃」を計画していたジハーディスト(聖戦主義者)の「テロ工作員ら」を拘束するため、ジェニン地区に入ったと説明している。

パレスチナ当局は、この衝突で民間人の61歳の女性が亡くなったと発表。また、イスラエルが「大虐殺」を行ったと批判し、イスラエルとの治安面での協力を中止すると述べた。

また、エルサレム近郊アル・ラムで、ジェニンでのイスラエル軍の作戦行動に抗議する住民らが同軍と衝突。パレスチナ人1人が死亡したという。

イスラエルでは昨年、パレスチナ人などによる数々の死傷事件が発生。これを受けてヨルダン川西岸では、イスラエル軍がテロ対策と称した急襲作戦を続けており、イスラエルとパレスチナ間の緊張が高まっている。

3時間にわたり衝突

ジェニンの難民キャンプではこの日、激しい銃声と爆発音が響き渡った。パレスチナの武装勢力とイスラエル軍の衝突は、午前中から3時間にわたって続いた。

イスラエル軍は、「イスラエルの民間人や兵士に対する複数の大規模なテロ攻撃の計画と実行に深く関わっている」ジハーディスト「テロ部隊」を逮捕するため、部隊がジェニンに入ったと発表した。

イスラエル軍は建物を包囲し、パレスチナの3人の戦闘員が発砲したため「無力化」したと説明。4人目は投降したという。さらに、別のパレスチナ人戦闘員から攻撃されたために反撃したという。

Map of Israel and the occupied West Bank, showing the location of Jenin

パレスチナのイスラム組織ハマスとパレスチナ・イスラム聖戦機構は、戦闘員がイスラエル軍の銃撃と即席の爆発物の標的にされたと発表した。また、パレスチナ保健省によると、20人が負傷し、うち4人が重体だという。

パレスチナの公式メディア「WAFA」は、イスラエル軍のジェニン侵入を阻止しようとした若者7人が負傷したと報じている。

パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は、犠牲者の葬儀に際して3日間の服喪を発表した。

アッバス議長の報道官は、「国際社会が沈黙する」中で「大虐殺」が起きたと指摘。「こうしたことが、(イスラエルの)占領政府が世界中の人々が見ている前で、我々の国民に対して大虐殺を行うことを後押ししている」と述べた。

ハマス高官のサレフ・アル・アロウリ氏は、「そう遠くないうちに抵抗の対応を行う」と述べた。

今年もすでに多数の死者

国連のトー・ウェネスランド中東特使は、この事件に「深く憂慮し、悲しんでいる」と述べた。

「今年に入ってからも、2022年を特徴づけていた多くの暴力やその他のネガティブな傾向が続いている。直ちに緊張を緩和し、これ以上の人命の損失を防ぐことが極めて重要だ」

ヨルダン川西岸では今年に入り、少なくともパレスチナ人30人が殺されている。これには民間人も戦闘員も含まれる。

昨年にはヨルダン川西岸で150人以上のパレスチナ人が殺され、そのほとんどがイスラエル軍によるものだった。

一方で、パレスチナ人やイスラエル系アラブ人によるイスラエル人への攻撃や、イスラエル軍の急襲作戦での銃撃戦も続発しており、民間人や警察官を含む30人以上が殺されている。